イタリア・パドヴァで学んだ「デジタル×自家骨GBR」

― Dr. Luca De Stavola先生 GBR・骨造成セミナー参加―

サロンメンバーの皆さん。こんにちは

税務調査に追われ、毎日目まぐるしい毎日を送っております。柴田です。今回のブログはそんな中、海外研修に参加してきたのでたまには臨床のことも書こうかなと思ったのでちょっと書いてみました。

9月16日から22日まで、イタリア・ベネチア近郊のパドヴァで開催された、Dr. Luca De Stavola先生のGBR・骨造成セミナーに参加してきた。

今回参加するきっかけとなったのは、以前から交流のある先生に、

「今後かなり注目されていく術式なので、ぜひ学んでおいた方がいい」

と勧めていただいたのがきっかけ。

参加者は約30名。

若手からベテランまで、日本でも第一線で活躍されている臨床家が多く参加され、参加メンバーのレベルの高さも非常に印象的な研修だった。

🌍海外研修で改めて感じる「人とのつながり」

今回参加されていた中には、これまで海外研修や国内のセミナーなどで何度かお会いしている先生方も多くいらっしゃった。

昨年、ポルトガルやモナコでご一緒した先生方とも再会し、また別の研修で顔を合わせることで、以前よりさらに交流が深まった。

海外研修に継続して参加していると、ある場所で知り合った先生と、また別の国、別の研修で再会することが増えてくる。

最初は名前しか知らなかった先生でも、何度か顔を合わせるうちに自然と関係が深くなり、臨床や医院経営についても率直に話せるようになる。

これは海外研修の非常に大きな価値の一つだと感じている。

私自身も、これまで何度も海外研修を共にしている、気心の知れたメンバーと参加した。

おそらく10回以上、一緒に海外へ行っている仲。

移動から研修、食事まで、ほぼ阿吽の呼吸で動けるため、今回も非常に良い雰囲気の中で1週間を過ごすことができた。

2026年は今回が初めての海外研修でしたが、久しぶりにいつものメンバーで参加できたこともあり、とても充実した時間になった。

🗓️3日間、朝から晩までGBRを学ぶ

研修は3日間。

1日目、2日目は朝から夕方まで講義。

3日目はカダバー実習という構成でした。

その後には懇親会もあり、本当に朝から晩まで密度の濃い3日間。

今回ありがたかったのは、講義の録画が許可されていたこと。

講義はすべて英語でしたが、歯科分野に精通した通訳の先生が同行されており、専門的な細かなニュアンスまで非常に鮮明に理解することができた。

これまで英語の講義を聞く際には、

「おそらくこういう意味だろう」

という理解で進んでしまう部分も少なからずあった。

今回はそれまで曖昧だった部分まで理解が深まり、講義の解像度がまったく違った。

一方で、自分ではある程度聞き取れているつもりでも、実際には取り切れていない情報がまだ相当あるということにも気づかされた。

臨床だけでなく、英語についても改めて勉強する必要があると感じている笑。

🤖今回の中心テーマは「デジタルを活用した自家骨による骨造成」

今回学んだ中で、最も興味深かったのが、

デジタルを活用して自家骨を三次元的に再構築する骨造成

という考え方。

私は以前、ハンガリーでDr. Istvan Urban先生のGBRを学んだ。

Urban先生の術式は、自家骨とBio-Ossをおよそ半分ずつ混合し、大きく減張切開を行って軟組織を十分に伸展させ、水平的・垂直的に大きく骨を造成していく方法。

現在では世界的にも非常に有名な術式で、日本でも多くの勉強会やセミナーで紹介されている。

日本のインプラント臨床家にとっても、かなり認知されたGBRの考え方ではないでしょうか。

今回学んだDe Stavola先生の術式は、それとはかなり発想が異なる。

まずCTなどのデータをもとに、デジタル上で骨欠損の形態を診断する。

そして、

「最終的にどの位置に、どの程度の骨が必要なのか」

という完成形を、術前の段階でかなり具体的に設計していく。

その設計をもとに、下顎枝、特にramusから自家骨をブロックとして採取する。

さらに興味深いのは、骨を採取する位置や形そのものも、術前にデジタルで計画されている点。

専用のガイドを使用することで、できるだけ安全かつ正確に自家骨を採取していく。

💀骨を「移植する」のではなく「組み立てる」

採取した骨は、そのまま単純に欠損部へ移植するわけではありません。

必要な形に加工し、それぞれの骨片を、まるで積み木やプラモデルを組み立てるように立体的に配置していく。

そして非常に細かなスクリューを用いて固定し、失われていた三次元的な骨形態を再現していく。

今回この術式を見て最も面白いと感じたのは、

術中の感覚だけに頼って骨を作るのではなく、術前に完成形をデジタル上で設計し、その設計図に沿って骨を採取し、加工し、組み上げていく

という点。

今後、外科領域でもこのようなデジタルとの融合はますます進んでいくのだろうと感た。

また、自家骨を主体とするため、先生の講義では骨の成熟が比較的早く、症例によっては約4か月程度で次のステップへ進むケースも示されていた。

この点も非常に印象的だった。

🇯🇵今後、日本でも広がる可能性を感じる術式

今回の研修を受けて、

「この術式は将来的に日本でもかなり注目されるのではないか」

と感じている。

現在Urban先生のGBRが日本でも広く知られているように、今後はDe Stavola先生のデジタルを活用した自家骨GBRも、国内で紹介される機会が増えていくのではないでしょうか。

実際、今回参加されていた先生方の間でも、

「今後、日本でどのようにこの術式が広がっていくのか」

という話題が出るほど、皆さん高い関心を持たれていた。

🦴カダバー実習で感じた「実際の難易度」

3日目は参加メンバーの一人とペアを組み、カダバー実習を行った。

実際に下顎骨から自家骨を採取し、採取した骨片を加工し、複数のスクリューを使って三次元的に組み上げていくところまで実習した。

実際に手を動かしてみると、やはり非常に難易度の高い術式。

特に骨採取については、周囲の解剖学的構造を十分理解したうえで行う必要があり、安全性への配慮が非常に重要。

また、

  • どのような形で骨を採取するのか
  • どこまで骨片を加工するのか
  • どの位置に配置するのか
  • どの角度で固定するのか

一つひとつの判断が非常に繊細。

そのため、

「新しい術式だから、すぐに取り入れてみよう」

という類の治療ではないと感じている。

症例をしっかり選択し、術前診断を行い、必要な器具や環境を整えたうえで導入する必要がある。

🦷All-on-4以外の選択肢を増やせる可能性

一方で、適応をきちんと選択すれば、非常に大きな可能性を持つ術式だとも感じた。

例えば、部分的に大きく骨が欠損している症例。

あるいは前歯部の垂直的骨量が不足しており、そのままインプラント治療を行うと審美性や補綴形態に問題が出る症例。

こうしたケースでは非常に有効な選択肢になり得ると思う。

また私自身、非常に興味深いと感じたのが、

大きな骨欠損があるからといって、すぐにAll-on-4を選択するのではなく、条件が整えば骨を再建し、より自然なFP1に近い補綴を目指す選択肢も持てる

という点です。

もちろん、すべての症例で骨造成を行えばよいという話ではありません。

All-on-4が非常に適している患者さんもいる。

重要なのは、術者側の選択肢を増やすことだと思う。

「骨がないから、この治療しかできない」

ではなく、

「この患者さんには、どの治療が最も適しているのか」

を考えられるだけの引き出しを持っておく。

その意味でも、今回の術式を学べたことには大きな価値があった。

🤝すぐに導入するのではなく、仲間と症例を共有しながら

今後については、いきなり一人で症例を始めようとは考えていません。

今回一緒に参加した先生方や、普段から臨床について相談できる仲間と症例を共有しながら、

  • 適応症
  • 術前診断
  • 骨採取
  • 骨片の設計
  • 使用器材
  • 術後経過

などを情報共有し、段階的に導入を検討していきたいと思っている。

難易度の高い治療だからこそ、最初の段階では仲間と症例を共有できる環境が非常に重要だと思う。

👤👤技術以上に大きかった「人との出会い」

今回の研修でもう一つ大きかったのが、やはり人とのつながり。

非常に優秀な若手の先生から、日本の歯科界で長く活躍されている先生まで、本当にレベルの高い先生方が集まっていた。

そうした先生方と3日間一緒に講義を受け、実習をし、さらに食事や懇親会で話をする。

これだけ長い時間を共有すると、一気に距離が縮まる。

海外研修には、新しい治療技術を学ぶという目的がある。

しかし同じくらい、

日本の第一線で臨床を行っている先生方と継続的な関係を作ること

にも大きな価値があると感じている。

🚣‍♀️ベネチア、そしてLe Calandreへ

研修以外の時間も、とても充実していた。

みんなでベネチアへ行き、サン・マルコ広場を歩いたり、ゴンドラにも乗った。

ベネチアはまさに「水の都」で、街そのものが日本とはまったく違った。

歴史ある建築物、運河、広場、街並み。

どこを見ても非常に雰囲気があり、イタリアらしい洗練された街だった。

個人的には、

「人生で一度は訪れてもいい街」

だと思った。

また、今回の滞在中にはミシュラン三つ星のLe Calandreにも言行った。

料理はもちろんですが、空間、サービス、プレゼンテーションまで含めて非常に良い経験になった。

医院経営をしていると、こうした一流のサービスを体験すること自体も、意外と勉強になる。

✏️海外研修で得るものは「術式」だけではない

研修、臨床、交流、食事、観光と、朝から晩まで予定が詰まった1週間だった。

非常に濃く、充実した時間だったと思う。

今回の講義はすべて録画してありますので、これから改めて見返しながら内容を整理し、自院の臨床にどのように落とし込めるのか検討していきます。

海外研修というと、

「最新の術式を学びに行く」

というイメージが強いと思う。

もちろん、それが一番の目的。

しかし実際には、

世界の臨床家が何を考えているのかを知ること。
自分自身の現在地を知ること。
日本のトップレベルの先生方とつながること。

こうした部分も非常に大きいと感じている。

今後も年に1〜2回程度は海外研修に継続して参加し、自分自身の臨床レベルを高めると同時に、そこで得た知識、経験、人とのつながりを医院全体にも還元していきたいと思う。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です