「院長、私めっちゃ頑張ってます!」では評価できない(笑)

サロンメンバーの皆さま、こんにちは! 運営局のYです。

前回は最近のしばた歯科でのAI活用として、院長紹介動画をAIで作ったこと。そして現在、「Shibata OS」という医院オリジナルのポータルサイトを作っている話を書きました。

ただ、最近のAI活用の中で、私が一番嬉しかった出来事はそこではありません。

今回の主役は、入社2年目の歯科衛生士たちです。

最近彼女たちが、自分たちから医院の数字を集計し始めました。作っているのは大きく二つ。一つが、口腔機能検査の実施状況の集計。もう一つが、DHごとの個別集計を、これまで以上に詳しく見られる仕組み。

この取り組みから、個人的には大きく3つのメリットがあったと感じています。

  • スタッフが自分から医院のために動き始めたこと
  • 数字を自分たちで触ることで、仕事を「自分ごと」として考え始めたこと
  • AIを使えるスタッフが増えたこと

①「自分からやる」が一番嬉しい

しばた歯科では、スタッフが何か新しいことに挑戦したり、医院のために行動したりすると、院長は比較的きちんと評価する方だと思います。

しかも当院は、かなり数字をオープンにしています。売上。人件費。医院のお金。給与。それだけではなく、院長自身の役員報酬の話まで普通にします。

「今これくらいで、将来的にはこのくらい欲しい」とか、本当にスタッフに言います(笑)

なので、「結局さ、院長が全部自分の懐に入れているんじゃないの?」という疑いを持つこと自体が、あまり意味をなしません。見えているからです。

その分、医院が伸びることと、自分たちの待遇が良くなることはつながっている、という話もしやすい。

もちろん、入社2年目のスタッフがそこまで全部理解しているかと言われたら、そんなことはありません。まだ2年目です。むしろ普通は分からなくて当然だと思います。

ただ最近、「じゃあ、自分たちが評価されるには何をすればいいんだろう?」「医院にとってプラスになる行動って何だろう?」という話を、同期同士ですることが増えてきました。これはかなり大きな変化だと思っています。

私なんて、しばた歯科に入って来年で9年目。もう四捨五入したら10年です(笑)

時々、「Yさん、院長の考えていることが分かってすごいですね」と言われます。いやいやいや。もう10年近く一緒に仕事しているんです。ある程度分かって当然なんです(笑)

それより、入社1年、2年でこのスピードについてきているあなたたちの方がよっぽどすごい。私は本気でそう思っています。

②「私、頑張ってます!」だけでは、たぶん経営者には伝わらない

しばた歯科では、たまにこんなやりとりがあります。

「院長、私めっちゃ頑張っています!」「めちゃくちゃやってます!」……。院長からしたら、「で?」です(笑)

いや、本人が頑張っているのは本当だと思います。でも、第三者から見て、その頑張りがどういう結果になっているのか。経営では、そこが重要です。

これは、おそらく歯科医院に限らず、世の経営者の先生方なら何度も経験されていると思います。スタッフから、「頑張っています」と言われても、「じゃあ何がどれくらい変わったの?」となる。

当院がかなりリアリストなのかもしれませんが、最終的には、数字という結果で見ることが多いです。

ただ、これを入社2年目のスタッフにいきなり求めても、当然ながら分かりません。頑張る方向を間違えて、「いや、そこじゃないんだけどな……」ということも普通にあります。

そんなときは、私が横からこっそり入ります。TCのごとく、まず傾聴。「なるほどねー」「そう思ったんだねー」と聞いて、そこから少しずつ軌道修正していきます(笑)

だったら、まず数字にしてみよう

そんな流れから、「だったら一回、目に見える形にしてみたら?」ということで、集計が始まりました。

診療後にマックを食べながら、パソコンを開いて数字を分析。横では実践会の動画を流しながら、インプットとアウトプット。なかなかカオスです(笑)

ただ、彼女たちだけに全部任せると、途中で話が脱線することもあるので、私も一緒に参加します。仲が良いのは本当にいいことなのですが、仕事の話をしていたはずなのに、いつの間にか全然違う話になっている。これは本当によくあります(笑)

でも今回、数字を触り始めると少し様子が変わりました。例えば、「この人、メンテナンス人数は少ないのに保険点数高くない?」となる。すると、「じゃあ、一人あたりの保険単価を出してみよう」となる。

さらに、「あれ?この先輩、もしかしてパノラマ撮影とか口腔機能検査を結構やっているんじゃないですか?」という話が出てくる。「じゃあ調べてみよう。」

ここまで来ると、もう完全に、数字から仮説を立てて、確認するという流れになっています。これって、経営者が普段やっていることと同じなんですよね。

もちろんレベルはまだ違います。でも、「何となく」ではなく、「数字を見る」。そこから、「なぜ?」を考える。この癖がつき始めたことは、とても大きいと思います。

「院長が売上、売上と言うからやる」では続かない

DH集計をgptとcodexを併用して細分析してくれました。順位までつけて、確実に目に止まる冷蔵庫に張り出し。ランチ前の冷蔵庫の前はちょっとざわつく(いい意味で)

院長から、「もっと点数を意識して」「もっと売上を考えて」と言われたからやる。これでも短期的には動くと思います。ただ、それだけだとおそらく長くは続きません。

スタッフ自身が、「自分たちがどう動けば、結果が変わるのか」を考え始めた方が、強い。

実際、今回の集計を始めてから、彼女たちの中で少し「仕事」に火がついた感じがあります。いつものルーティンワークに、少し違う色が入ったというか。

ただし、大事なのはここからです。一回盛り上がるのは簡単です。問題は、続くかどうか。

なので今後は、私も横で並走しながら、「せっかく作ったものを毎月見る」「数字を見て何か一つ行動を変える」ところまで続けていきたいと思っています。

院長側としても、「院長が言うからやる」より、「自分たちのためにやる」というスタッフが増えた方が、精神的にもかなり楽なのではないでしょうか。

③実は一番大きいかもしれない「スタッフがAIを触れるようになったこと」

そして今回、個人的にもう一つ大きいと思っているのが、AIを触れるスタッフが増えたこと。です。

歯科医院で新しい情報を取りに行くのは、多くの場合、院長ではないでしょうか。セミナーに参加する。新しい機材を見る。経営について勉強する。AIについて調べる。そして医院に持ち帰ってスタッフに説明する。

でもスタッフからすると、院長が普段何を考えているかなんて、正直よく分からないと思います。臨床の話ならまだ分かりやすい。でも経営の仕組み。数字。マーケティング。AI。組織づくり。こういったものは、一緒にセミナーに参加しない限り、なかなか分かりません。

数か月前、あるセミナーのチラシを見ました。そこに、「院長先生向け 2日間AIセミナー」と書いてありました。さらに、「参加は院長先生のみ」と。

それを見て、言葉を選ばずに言えば、「え?スタッフ、バカにされてる?(笑)」と思ってしまいました。

もちろん、院長がAIを学ぶことは大切です。でも、AIを使うのは院長だけではありません。

むしろ、院長先生には歯科医師にしかできない仕事があります。診断。治療。患者さんとの相談。経営判断。歯科医師にしかできないことに、できるだけ時間を使ってもらった方がいい。

スタッフが代わりにインプットできることなら、「私たちがやりますよ」でいいと思うんです。

院長一人で経営するのには限界がある

近くでずっと院長を見てきて思いますが、医院経営って、本当にやることが多いです。

  • 臨床
  • スタッフ
  • 採用
  • 教育
  • 数字
  • 設備投資
  • 広告
  • 税金
  • 人間関係
  • セミナー
  • 将来のこと

これを全部、一人でやる。普通に考えたら無理です(笑)

そこを誰かが少しでも手伝えるだけで、生産性はかなり変わります。実際、当院もそうでした。

そして今は、そこにAIが入ってきました。確かに、「AIによって人が必要なくなる」と言われています。それも一部では正しいと思います。

でも現時点では、「AIに何をやらせるか」を考えるのは人間です。そして、その人間は必ずしも院長である必要はない。スタッフでもいい。私はそう思います。

最初から「AIで集計システム作って」は、さすがに酷です(笑)

話を2年目DHに戻します。口腔機能検査の数値をどう集めるか。DH個別の数字をどう出すか。

これまでなら、Excelやスプレッドシートで頑張って作る。詳しい人にお願いする。外部の会社に作ってもらう。という方法が中心でした。

でも今はAIがあります。実はChatGPTやCodexを使えば、「こんな集計画面が欲しい」と言いながら、かなり簡単にシステムを作ることができます。

そこで彼女たちにも、「実はこんなこともGPTで作れるよ」と伝えました。

ただ、「じゃあ明日までにDH集計システム作って」では、さすがに酷です(笑)なのでまずは、楽しいものを作るところから始めました。

「推し活ゲームでも作ってみん?」と。案の定、食いつきが早い(笑)若い。本当に若い(笑)

そこからCodexを使って、推し活ゲームという名のリズムゲーム作成が始まりました。

キャー、キャーと楽しそうに「推し活ゲーム」を作成。でも、確実にcodexを触れる力はついてきている。

「こうやって指示出すんだよ」「ここ直してって言えば直してくれるよ」「システムって、こんな感じで作っていくんだよ」と教える。飲み込みが早い。本当に早い。

そして次の日。もうChatGPTとCodexを使って、自分たちの集計表を作り始めていました。

「休みの日まで触ってたの!?」

さらに驚いたのが、休み明けに、「ここまでできたんですけど、合ってますかね?」と画面を見せてきたこと。

私からしたら、「え?休みの日もやってたの?」です(笑)

正直、最初は、「Yさんに言われたから仕方なくやってるのかな」と思っていました。でも意外と、本気でした。自分で作ったものが動くのが面白かったのだと思います。

こうして一人。また一人。AIを触れるスタッフが少しずつ増えてきました。

そして、そのスタッフが医院の数字を見て、「これ何でだろう?」と考え始めている。

個人的には、AIで立派なシステムができたことより、この変化の方が何倍も大きいと思っています。

AI導入のゴールは「院長がAIに詳しくなること」ではないのかもしれない

最近、そんなことを考えます。

AI導入というと、「院長がChatGPTを使えるようになる」「院長がAIセミナーを受ける」「院長がAIエージェントを作る」という話になりがちです。

もちろん、それも必要です。でも、その先には、医院全体でAIを使える状態があるのではないでしょうか。

院長が、「これ集計して」と言わなくても、スタッフが、「これAIで自動化できないかな?」と考える。

院長が、「数字を見なさい」と言わなくても、スタッフ同士で、「何でこの数字違うんだろう?」と話している。

そんな組織になった方が、圧倒的に強いと思います。

まだ、しばた歯科もそこまで完成しているわけではありません。むしろ試行錯誤だらけです。

ただ最近、「AIを使う医院」から、「AIを使える人が増える医院」へ、少しずつ変わり始めている感覚があります。

そして何より、まだ2年目のスタッフが、自分たちから医院を良くしようとしてくれている。これは、素直に嬉しいです。

「Yさん、すごいですね」と言ってもらうことがありますが、私はもう9年目です。そりゃ多少はできないと困ります(笑)

それより、入社してまだ数年の彼女たちがここまで付いてきてくれていることの方が、よっぽどすごい。そんなことを感じた、最近のしばた歯科でした。

院長自身に若手のこの行動が見えているかは知りません。(一応、報告はしてすよ笑)

でも、院長の知らないところでスタッフも動き始めています。

今後、AIがどこまで医院に入ってくるのか。正直、私にも分かりません。

ただ、「AIを院長だけのものにしない」。これは今後の歯科医院経営において、意外と大事なテーマになるのではないかと思っています。

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