患者さんが「この先生に診てもらいたい」と思う理由——歯科医院経営者が知っておくべき「スタンス」と「伝える力」

同じ技術・知識・経験なのに、なぜ差が出るのか

こんにちは!

しばた歯科マネー診療室の運営局のYです。

今回のブログは前回に引き続き感銘をうけた内容の共有第2段になります。

やはり内容が内容なだけに盛りだくさんかつ濃く1投稿にはまとめられませんでした汗

お金の話ももちろん身になりますが(ファウンダー柴田のブログも面白く勉強になっています。)、一社会人として「マインド」の部分も必要なスキルだと年々感じています。

しかし、なかなかマインドって学ぶ機会が少ないし、

「誰から聞くか」

ここが一番肝心だと思います。

だからこそ、歯科業界に捉われずいろんな業界の人と話すと毎回新たな発見があって楽しいと感じているYです。

では、前回に引き続きブログをお楽しみください。(もし、興味があれば…)

歯科業界でこういうシチュエーションよく見かけませんか?

歯科大学で同期だった2人が、独立開業して数年後——。

一方は患者が絶えず、スタッフも定着し、自費診療の比率も高い。もう一方は、保険診療中心で患者数も伸び悩んでいる。

技術に大きな差はない。知識もある。毎日懸命に働いている。

なのに、なぜこれほどの差が出るのか。

その答えが、今回のブログのメイン内容である「スタンス」と「伝える力」にあります。

「スタンス」とは何か——プロとしての立ち位置

世界的な某保険会社のセールスマニュアルには、「KASH」という概念が登場します。

Knowledge(知識)

Attitude(姿勢・スタンス)

Skill(スキル)

Habit(習慣)

この4つが揃ってこそ成果が出る——という考え方ですが、興味深いのは次のエピソードでした。

「知識もスキルも習慣も、まったく同じレベルの2人の営業マンがいた。しかし一方は高い成績を残し、もう一方はまったく売れなかった。その違いは何か?」

答えは、Attitude(スタンス) の違いただ一つだったそうです。

スタンスとは、相手に対してどのポジションから話をするか——自分がどういう役割でその場に立っているか、ということです。

スタンスが低いと、何が起こるか

歯科医師やTCの場合に置き換えてみましょう。

患者さんに自費診療を提案する場面を想像してみてください。

「インプラントをお勧めしたいのですが……もしよろしければ……ご検討いただけますか……」

こういった言い方になっていませんか?

これはスタンスが低い状態ですね。断られることへの恐怖、患者さんの機嫌を損ねることへの不安——こうした感情が、無意識のうちにこちらの立ち位置を下げてしまいます。

スタンスが低くなると、患者さんとの対話はコントロールを失います。

「検討します」と言ったまま連絡が途絶える

「ちょっと待ってください」と引き延ばされる

本来の目的から外れた話ばかりになる

「雑用係」のように扱われてしまう

こういった経験に覚えがある方は、スタンスの問題を見直すタイミングかもしれません。

スタンスが高いとは「偉そうにする」ことではありません。

誤解しないでいただきたいのですが、スタンスを高く持つことは、威張ることでもマウントを取ることでもありません。

「プロとしての立ち位置を取る」ということです。

ここで一つの実話を紹介します。

あるオーダースーツの若い職人が、業界の大物に売り込みに行ったときのこと。相手は試すような態度で冷たく、「スーツなんて作業服だ」と言い放ちました。

すると若い職人は、おどおどしていたのが嘘のように目を輝かせ、こう言いました。

「スーツを作業服と呼ぶのだけは、やめてください」

その瞬間、相手は「この人から買おう」と心を決めました。

技術や話術ではありません。スーツという仕事への本気の矜持が、相手の感情を動かしたのです。

これが「スタンスの高さ」です。

歯科医療に置き換えると

患者さんが「噛めればいい」「見た目はどうでもいい」と言ったとき、多くの歯科医師は引いてしまいます。「そうですか……ではこのプランで」と。

しかしスタンスの高い歯科医師は、こう言えます。

「噛めるだけでいいのか、という点については私も同意します。ただ、10年後・20年後も自分の歯でおいしく食事できる状態を守るためには、今の選択がとても重要です。私はその観点からご提案させていただいています」

これは押し売りではありません。プロとしての主張です。

患者さんの「今の気持ち」に従うのではなく、「将来の健康」を守るために、対等以上の立場でリードする——それが本来の歯科医師の役割ではないでしょうか。

人が動く2つの要素——「理性」と「感情」

では、患者さんや相手を動かすためには何が必要か。

大きく2つの要素があります。

①理性に訴える——「分かりやすさ」の追求

どんなに正しいことを言っていても、伝わっていなければゼロです。

多くの歯科医師の説明を聞いた患者さんの感想を想像してみてください。専門用語が多い、説明が長すぎる、何が重要なのか分からない——。

こういった説明では、患者さんの脳は途中でシャットダウンします。「なるほど」と頷きながら、実は何も入っていない状態になるのです。

脳は省エネ設計でできています。理解するために余分なエネルギーを使わせると、集中力が切れる。これは生理的な現象です。

目指すべきは、患者さんが「翻訳作業」をしなくて済む説明です。

ある伝道師のような言葉があります。

「シンプルなものを複雑にするのはよくあること。複雑なものを素晴らしくシンプルにすること——これがクリエイティビティだ」(ジャズ奏者・チャーリー・ミンガス)

歯科の説明においても同じです。専門知識を持つからこそ、それをいかにシンプルに伝えられるか。「小学5年生に分かるように説明できるか」を自分への基準にしてみてください。

②感情を動かす——「リアリティ」を感じてもらう

ここが最も重要なポイントです。

人は感情で決断し、理性で正当化します。

どれだけ理屈で正しいことを説明しても、感情が動かなければ人は行動しません。「検討します」「また来ます」——これは感情が動いていないサインです。

では、どうすれば感情が動くのか。

鍵は「未来のリアリティ」を感じてもらうことです。

患者さんが何かを選択するとき、実際に買っているのは「今の治療」ではなく、「治療によって手に入る未来の自分」です。

インプラントにすることで、好きなものを何でも食べられる未来

矯正することで、思いきり笑える自分

定期的なメンテナンスで、歯を失わずに年を重ねる人生

こうした映像や感覚を患者さんの頭の中に浮かべてもらうことが、感情を動かす最も重要な手法です。

試してみてください。こんな問いかけを。

「もし治療がうまくいったら、真っ先に何をしたいですか?」

「これが完成したとき、誰に一番見せたいですか?」

一見シンプルな質問ですが、患者さんの頭の中に鮮明な映像が浮かびます。そのとき、感情は動き始めているのです。

「主張」を持つ歯科医師は強い

さらに一段上のレベルの話をします。

トップの歯科医師・経営者に共通していることの一つが、自分の考えや価値観をはっきりと主張できることです。

「私はこう考えます。なぜなら——」

この構造を持った発言は、患者さんの感情と理性を同時に動かします。主観的な主張が感情を揺さぶり、その後の理由が理性的な納得を生む。

例えば、歯科治療費について「高い」という反応が返ってきたとき。

多くの場合、値引きの説明や謝罪になりがちです。しかし主張のある歯科医師ならこう言えます。

「確かに安くはありません。ただ、私は治療のゴールを『痛みをなくすこと』ではなく『10年後も20年後も自分の歯で食事できること』に置いています。そのための投資として考えていただくと、むしろ安いと感じていただけると思っています」

これは価格交渉でも説得でもありません。プロとしての哲学の表明です。

この主張に共鳴する患者さんは、長期的なファンになります。そうでない患者さんとは、深い関係にならなくていい——そう割り切れることも、スタンスの高さから生まれます。

まとめ——「説明する」から「動いてもらう」へ

今日お伝えしたことを整理します。

スタンスを高く持つ——プロとしての立ち位置を取ること。患者さんに対して対等以上のポジションから話す

主導権を握る——患者さんに「決定権」はあるが、「主導権」は自分が持つ

分かりやすく伝える——専門知識を翻訳して、患者さんに「調理した料理」を提供する

感情を動かす——未来のリアリティを感じてもらうことが、行動の引き金になる

主張を持つ——自分の哲学・価値観を明確にすることで、深い共感が生まれる

歯科医師としての仕事は、治療の説明をすることではありません。患者さんにより良い未来を選んでもらうことです。

そのために必要なのは、最新の器材でも複雑なテクニックでもなく、「プロとして堂々と向き合えるスタンス」と「相手の感情を動かせる伝える力」です。

医療人として、一人の社会人として——ぜひ今日から、自分のスタンスを見直してみてください。

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